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コロナウィルス状況下での間接部門の業務自動化

ここでいう間接部門とは、財務・人事・総務・法務などの部署を指す。

間接部門では、さまざまなシステムを使っており、財務における資金の送金や受取、人事においても給与の支払いなどに当然社内社外のシステムを使うものの、実際には、システムから紙にプリントして、それをまた手で入力するといった作業を多く行っている。

今般のコロナウィルス感染者が毎日数百名単位で発生し、収束しない状況下では、当然オフィスに行かずにリモートで仕事を行うことが推奨されているわけだが、さまざまな事情から、かならずしもすべての企業でリモートワークが行われているわけではない。

事情の一つには、そもそも社内のデータを社外に持ち出せないというポリシーがあったり、そのようなデータが外部に漏洩しないようにするセキュリティーができていなかったりすることがある。たとえ、そのような事情が解決されている企業においても、リモートワークでしていることは手作業であることが多い。

日本企業の間接部門における労働生産性を向上させるためには、人間が目で見て手で入力するというアナログ的な作業を、システム間の連携を行うことでデータがそのままデジタルにシステム間でやりとりされるデジタルなプロセスに換えていくべきだ。

そういう意味では、まだまだ日本においては、いわゆるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション、robotic process automationの略)が普及していない。

RPAに関する具体的は説明はここではできないが、人間という貴重な労働資源を、単純なデータ入力という作業から解き放って、もっと創造的なことに振り向けられるようにすべきだ。

このような流れは、コロナウィルス状況下で少しは加速していくであろうと期待する。

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テレワーク(3)

ここからは私自身の経験からテレワークをうまく行うための方法について述べる。私自身についてなので、必ずしも最良の方法ではないが、参考になれば幸いである。

(1) 仕事の場所が自由

私の場合、今年3月に前職を退職し、4月に会社を設立して、一人だけの企業の代表取締役として現在に至っている。ひと月毎に、一つずつ企業顧客を加えてきているが、最初の仕事の要件を決める際には、顧客の所在地に訪れて、さまざまな関係者の方々に会う必要がある。

そのため、自宅の書斎の横には、普段家族が使っていない訪問客専用の応接室があるのだが、さすがに自宅のある横浜港北ニュータウンに顧客を呼ぶわけにはいかない。したがって、渋谷・丸の内・新橋などにあるコワーキングスペースにいて、訪問の前には事前に準備して待機している場合が多い。場合によっては、30分で顧客が指定する場所に移動しなければならないことがある。よって、仕事をする場所が完全に自由になるわけではなく、自分で考えて、予定を調整して、仕事をする場所が選べるということである。

(2) 仕事の時間が自由

私の場合、顧客との業務委託契約書などを締結しているので、どのような成果物をどれぐらいの時間でデリバリーすべきなのかが、書面に書かれている。もちろん詳細においては柔軟性があるのだが、むしろ柔軟性がありすぎて、顧客ごとに契約の条件が異なっているため管理するのは簡単ではない。

実際には、タイムシートと呼ばれる、30分ごとの時間の使い方を記したものを提出するか、請求書に使った時間の内容を記している。複数の顧客が同じ時間帯にミーティングを要求されることもあり、スケジュールの調整はむしろ一社で働いている場合より難しいかもしれない。いずれにしても自由には責任がともなう。時間の使い方は自分で考えなければならず、また使った時間は必ず記録する必要がある。

(3) ICTs (information and communication technologies)

私の場合、顧客ごとに別々のグループウェアを顧客から与えられており、付与されているメールアドレスも顧客ごとに異なる独自ドメインのものになっている。nakamura @ aaa.com、 nakamura @ bbb.com、nakamura @ ccc.comといった具合である。

チャットは、グループウェアのアラーム機能として常時駐在するアプリであったり、Slackというアプリであったりする。そのSlackでも、異なる顧客が使っている場合は、チャットをみるために画面を切り替える必要がある。 チャットにSkypeを使っている顧客もある。

ウェブ会議は、Zoomというアプリであったり、Skypeであったりする。

私の場合、アンドロイドのスマホ、アップルのiPad、WindowsのノートPCに同じアプリがインストールされており、どれか一つ所持していれば、顧客との連絡はとれるし、仕事も遂行可能。

スマホは画面が小さすぎるので、通話には使うが、ウェブ会議の画面としては小さすぎるのであまり使わない。

iPadはウェブブラウズしたり、スライドを人に見せたり、ノートをペンで書いたりするのには向いているが、ExcelやPowerPointはうまく使えない。

ノートPCは、ExcelやPowerPointなどが使える最強のツールだが、重すぎる。私の場合、財務管理のプロジェクトなどでExcelをつかうため、その顧客の作業のためにはどうしてもノートPCが必要になる。1.2kgでも、まだ重い。

(4) 雇用形態が自由

起業して法人設立するためには、法務局行って法人を登記する、税務署に行く、法人用の銀行口座を作る、税理士を雇う、会計ソフトウェア使って請求書作成、経費精算など、まあ、やることはいろいろある。さまざまなアプリのおかげでだいぶ便利にはなってはいる。しかし、それでも一人ですべてをこなすのは、結構大変である。このような、いわゆるバックオフィスとよばれる作業をすべて共同で安価にこなしてくれるサービスがあれば、さらに多くの人々が日本でも起業するのではなかろうか。日本政府主導で、このあたりの手続きを効率的に行えるようにすると、日本経済にも良い影響があるのではないかと思う。

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テレワーク(2)

テレワークの利点について。

(1) 仕事の場所が自由。自宅が勤務先になれば、通勤時間をゼロにもできる。自宅から以前の会社の勤務先までの通勤時間が1時間30分の人の場合、私も以前そうだが、自由に使える時間が、一日3時間創造される。なんと、一日24時間の8分の1に相当。また交通手段にかけるコストも減る。地球温暖化につながるCO2の発生も減少させられる。ドラエモンのドコデモドアを手に入れる必要もない。

(2) 仕事の時間が自由。場所と時間が両方とも自由となれば、好きな時間にランニング、散歩、読書、家族と過ごすなどもできる。この自由にはプライスレス、Pricelessな価値がある。

(3) ICTs (information and communication technologies)を使う。内容については前回の投稿を参照。ノートPCと充電器、スマホ、そしてイヤホンがあれば、いつでも、どこでも、仕事ができる。実際のところ、スクリーンを見て、音声と映像でコミュニケーションするウェブ会議のためには、静かな場所が必要にはなる。でも、実際に会うという必要は、ビジネス上は避けられないものであり、相手との信頼関係を構築するためには、少なくとも一度は直接会う必要がある。

(4) 雇用形態が自由。これは良い面と、かならずしも悪い面ではないが考えなければならない面が多くある。制度があってもなくても、それを悪用する人間はいるもので、それはテレワークをする仕事をする側、逆にテレワークによる仕事によって成果を受け取る企業側にも存在する。雇用を守る、もしくは労働環境を守るという点から、政府はなんらかの規制を設けるであろうし、テレワークの成果を得るべく企業側もさまざまなルールをテレワーカーに課すことになる。私の場合は、起業して会社を設立しているので、顧客となる企業と契約書を締結している。良い面としては、仕事をする時間を自由に設定するために、雇用もしくは就業形態を選べること。

いずれにしても、何事も長所・短所はあるものなので、テレワークをうまく活用することが大切。また、悪用しないことも大切。悪用すれば、それはいずれ多くの不自由な拘束条件がテレワーカー側、もしくはテレワーカーを活用しようとする企業側に課される結果につながる。

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テレワーク(1)

日本でもテレワークという言葉がよく取り上げられるようになった。

1990年代ほぼ10年間アメリカ西海岸に住んでいたが、その時にtelecommuting(テレ子ミューティング、telecommuteを-ingをつけて名詞化)という言葉に出会った。その時、テレワーク(telework)という言葉は聞いたことがなかった。だから、最初にテレワークという言葉を聞いた時、また、新しい和製英語かな、と思った。そうではなかった。米国人がTeleworkというのを聞いたことはないが、その言葉は正しい英語として存在する。

テレコミューティングというのは、たぶん電話で通勤するという意味であったと思うので、当初は通勤時間を削減するということを重視していたのだと思う。

日本では普及するのに時間がかかっているということなのだが、やはり、日本人というのは顔を合わせて仕事することを重視する国民であり、見えないところで仕事をやっているかどうかも分からないのに給与を払う、もらう、ということは、テレワークする社員と、会社の事務所・オフィスに来る社員との間で、不公平になるのではないか、とか、どうやって監視するのか、といったあたりでなかなか前に進まないのだろう。

テレワークの特徴は4つ。

(1) 仕事の場所が自由。ただし、実際に他の人に会う場合には、その場所に移動できる時間を確保できるようにしておく必要がある。

(2) 仕事の時間が自由。ただし、仕事の相手もしく顧客に合わせて、スケジュールを事前に調整しておく必要がある。

(3) ICTs (information and communication technologies)と総称される技術が使える環境にあること。コンピュータ(ノートPCやタブレットなど)、ブロードバンドなど高速なネットワークからインターネットに接続できる、場合によっては安全に社内のネットワークに接続できるようにする方法、スマートフォンや、Web会議を行うためのアプリSkypeやZoomなど、チャットなどを話す議題に応じてチャンネルごとに整理できるアプリSlackなど、が必要になる。

(4) 雇用形態が自由。たとえば、正社員、契約社員、嘱託社員、委託契約、など。雇用されていなくても、事業主、自分で会社設立など、さまざまな方法がある。一人で起業するにも、このテレワークを利用することで、簡単にスタートできる。

このような特徴があると、どのような利点があるのかを次回説明する。

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起業するということ(11)

どこかで、Lean Startup(リーンスタートアップ)のことについて書いたかもしれない。

Leanというのは、痩せているとか、無駄のない、贅肉のない、という意味だ。

いまや、さまざまな法改正(会社法など)、さまざまなウェブ上の情報によって、だれでも、日本では20万円ほどあれば起業できる。まあ、帳簿つけないといけない、税務申告はしないといけない、社会保険の届けしないといけない、などいろいろあるが、それほど難しいことでも金のかかることでもない。

アイデアがあって、なにかプロトタイプでもよいから製品があれば、もしくは能力の片鱗でも見せられれば、起業できる。

ちょっとした資金ならば、ある意味、はやく調達できるようにもなっている。まさに牛丼屋。はやい、うまい、、、

ソフトウェアもハードウェアも安価になり、クラウドサービスがそこら中にあって、起業した後、必要なのは、スマホとPCと名刺だけあるとできる。会議もWeb会議となれば、移動する必要もない。CO2削減効果大だ。

しかし、問題はそのあと。技術が進歩して、どんな技術も安価に手にいれられる社会では、資本力より、むしろ問題解決能力のほうが、重要になってきている、と思われる。とくにスタートアップでは当たり前だが、既存の産業でも同じようなこと起きている、と思う。銀行は、これからどうなる。重厚長大な産業の企業は、どうなる。企業が存続するには、もはや資本力だけではどうにもならなくなった。

私が思うに、必要なのは、顧客がもつ問題やニーズを認識し理解し、学習し、自社のプロセスを絶えず改善し、意思決定をすばやく行い、決定事項を実行する、ことだ。しかも、あまり無駄に金をかけずに、とりあえずでよい。失敗したら、問題認識、学習、改善、意思決定、実行を繰り返すだけ。失敗にいつまでも拘泥しないで、次々と新しいことを試す。

失敗を苦痛とは感じない精神が大切。日本の教育は、それができているのだろうか。企業経営という経済活動においては、なんでも無駄なことせず、リーンにやっていこう。もちろん、重要なところには金をかけるべきだが。

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起業するということ(10)

2019年5月24日付の日本経済新聞を読んだ。

記事の題名は「調達100億円 夢の終わり」。自動衣類畳み機械を開発していたセブン・ドリーマーズが経営破綻したという話だ。

2015年に、ランドロイドという製品を家電見本市場に出展して注目を集めた。日本の大手企業数社から60億円を資金調達。試作機を作り開発を進めようとしたが、なかなか市場で通用する製品にはならなかった。

アイデアや新しい技術で業界や市場を一変させるという思いを抱き大手企業から資金を集めようとする起業家、そして社内ではそのような夢を持ってリスクを背負えない経営陣やマネージャーを抱える大手企業。そのような両者が一緒になって新規事業に乗り出す訳だ。

当然のことだが、起業家は企業を経営した経験がない人が多い。大手企業は出資はしても起業家の自由な発想を妨げまいとするのか、経営にあまり関与しようとしない。

実は起業家が成功するには、起業家がカリスマ的な発想力、開発力、指導力を駆使するということが必要な訳ではない。

さまざまな成功した起業家の話を読むと、やはりその起業家を強力にサポートする人々がいるということが少なくとも必要条件になっていることが分かる。

その必要条件を満たすためには、起業家もサポートしてくれる人々に耳を傾けることが必要になる。

経営上の重要な意思決定には、やはり資金を出すベンチャーキャピタルや事業会社が関与すべきだ。そういう仕組みをきちんと回せるコーポレートガバナンスは、株式上場している大企業のみならず、非公開のスタートアップ企業でも必要だ。

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起業するということ(9)

どういう市場を目指すか決まったところで、最終的に製品やサービスを使うエンドユーザーのことを考える。

私の経営アドバイザリー会社であれば、もちろん顧客企業が代金を払うわけだが、具体的にはその顧客企業の社長や経営陣、場合によっては株主や投資家がエンドユーザーということになる。

まったく新しいビジネスモデルを使う新規事業の場合は、未だ存在していない潜在市場を見つけていくことになるので、なかなか大変である。

創業者の夢やビジョン、新規事業チームの目的などに照らし合わせて進めていくべきだが、現実的なところでは、そもそも潜在的な顧客は、提示される製品やサービスを買う理由があるのか、よく考えるべきだ。何か困っていることがあって、その問題が解決されるというのが最も強い理由にはなりそうではある。身体のどこかがとてつもなく痛い、ということになれば、誰でも有効な治療法とか医薬品探すことになる。

人間もちろん新しい何かを求めたりする欲求があるものだが、それでも、それは今の状況に完全に満足していないから、困ったことがどこかにはあるはず。時間が余ったから、今持っているゲームに飽きたから、新しいゲームを購入するということもある。

人間の欲望にはキリがないというのは、起業家にとって感謝すべき事実である。

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起業するということ(8)

私のローガンベリー株式会社のビジネスにおいて顧客の定義は、かなり明快だが、最近のウェブやデジタルな世界における顧客関係、顧客定義は、かなり複雑になっている。

いわゆる広告モデルというビジネスモデル。私は一人のユーザーとして、いつもGoogleは無料で使わせてもらっている。でも、Googleは広告主から金をもらって、私のようなユーザーの情報を、個人的には識別出来ない形にせよ、広告主に提供して広告をユーザーに見させている。どちらかと言うと、広告主の企業の方が顧客だが、ユーザーが便利だと感じて使ってくれないとどうにもならない。個人情報が漏洩したり不正に利用されたりで批判されているが。

あと、ネットオークション。商品を売りたい売主と、買いたい買主との間に入り、売主から手数料を得る。どちらも顧客。

いずれにせよ、誰が最終的な顧客になるのか、よく考える必要がある。それをエンドユーザーと呼んだりするが、エンドユーザーが満足して製品やサービスを使ってくれないことには何も始まらない。

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起業するということ(7)

顧客を見つけると言っても、具体的にどうする。

潜在的に顧客になってくれそうな人々や企業はたくさんありそうだとしても、それら全てを追いかけていっても、時間切れ、資金切れになってしまう。

また、大きな市場があるから、その内の少しでも取れるかというと、そうでもない。大きな市場を目指している競争相手はたくさんあるだろうし、そのような競争相手はそもそも規模が大きく資金が豊富だろう。

そうなると戦える市場は、かなり注意深く、自分が圧倒的に得意な分野に絞り込んで探していくのが良さそうだ。

私のこのローガンベリー株式会社の潜在顧客は、企業だが、その中でも、たぶん中小企業、海外市場での取引、もしくは海外ベンダーとの取引があり、長くビジネスを行っているが、技術や市場の変化の中で、従来のビジネスモデルを継続することが難しくなってきている企業であろうと考えた。

私には10年近く米国に住み、米国が本社であるテクノロジー企業で働いた経験もあるから、日本の外から日本を見た経験がある。その経験から得た知見が活かせる。

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起業するということ(6)



起業したばっかりの時点で一番大切なこと。まあ、最初の資本金はある。しかし、今まで会社員だった人間が起業となると、いくら貯金してても大した金額ではない。

最初の資金がなくなる前に、最初のお金を払ってくれる顧客を見つけないといけない。

既に売れる製品かサービスがあれば良いが、なければ開発するのに時間がかかる。

製品かサービスが開発し終わっても、それを売るのに時間がかかる。

資金がなくなることは、事業の死を意味するから、深刻な問題だ。

これらのサイクルはなるべく早く回す方が良い。理想的には、最初直ぐに顧客が見つかって、その顧客を満足させて代金を払ってもらうための最低限のことをなるべく早く行う。製品やサービスはその範囲を絞り込んで、開発や販売を短い時間で終わらせる。極めて重要なことだ。