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スタートアップ資金調達

2020年2月7日付の日経産業新聞の記事によれば、2019年の後半、大型の資金を調達した日本のスタートアップ企業は、ソフトウェアに関連した事業を行っている企業が多いとのこと。

ソフトウェアを使って何をすることが多いかというと、事業会社の業務改善、自動化、AIを使った学習、スマホ向けのアプリ、プログラミング教育、などである。

テレビのCMやタクシーの車内広告でよく見かけるb-dashというマーケティングデータ解析ツール。堤真一とおぎやはぎが登場しているので、インパクトがあって、記憶に残るのだが、2019年後半に100億円を米ゴールドマン・サックスや投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)などから調達したとのこと。

専門的なデータアナリストを雇わなくとも、直感的に分かりやすいソフトウェアツールで、プログラミングやデータベースに関する専門知識がなくとも使えるという点が評価されているのだと思う。

従来、なかなか日本発のスタートアップは、米国のVCから資金調達が難しいというのが定説であったようだが、日本のスタートアップの中には、グローバルに分かりやすいビジネスモデル、そして米国人向けに分かりやすいプレゼンテーション・交渉能力をもつスタートアップが現れてきたということかと思う。

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企業価値(6)

さて、前回では、100万円の資本を投下したら、一年後には5%のリターンがあって、105万円になってよかった訳であるが、もし、100万円の投資が、一年後に、マイナス20%のリターンで80万円で戻ってきたらどうなるか。

今回のシナリオを整理すると

  1. 自分の資本は0万円。100万円を借り入れる。一年後戻ってきた金額は80万円。100万円に3万円の利子を加えてかえさなければならないが返しきれない。
  2. 自分の資本は50万円。50万円を借り入れる。 一年後戻ってきた金額は80万円。50万円に1.5万円の利子を加えて返す。すると、手元に残ったのが、80万円-51.5万円=28.5万円。自分の当初投資した資本は50万円だったので、50万円-28.5万円=21.5万円を失ったことになる。-21.5万円÷50万円=-43%。リターンは、マイナス43%。
  3. 自分の資本は100万円。借り入れは0万円。 一年後戻ってきた金額は80万円。 手元に残ったのが 80万円。 自分の当初投資した資本は100万円だったので、100万円-80万円=20万円を失ったことになる。-20万円÷100万円=-20%。リターンは、マイナス20%。

1.の場合は、借入が返せないので、債務超過で事業は破綻。

2.の場合は借入は返せるので、事業は継続できるが、自己資本に対するリターンはマイナス43%

3.の場合は、そもそも借入はなかった。 事業は継続できて、自己資本に対するリターンはマイナス20%

リターンという率で考えると、事業が順調であれば、借入を多くして、レバレッジが大きいほどよいが、事業の業績が下振れすると、借入が多い場合は、借入を返済できなくて債務超過になる可能性もあるし、さらにレバレッジが大きいほど、自己資本のリターンがさらに悪くなる。

つまり、レバレッジが大きいと成長を助けることもあるが、場合によっては、事業が破綻する可能性がより大きくなることもある。

肌感覚では、借入、借金が多いとリスクが大きいというのは当たり前のことのように思えるが、このように数字の例で考えると、事業が良いときはレバレッジが大きいほどリターン率が高いが、事業が悪いときはレバレッジが大きいほどリターン率がさらに悪くなる。

つまり、事業の業績の振れ幅が大きいときは借入は避けるべきである。スタートアップ企業が当初借入はできないのは、既に継続している事業事業と比べて業績が下振れする可能性が高いからである。

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企業価値(5)

さて、前回の例の続き。今度は100万円を貸してくれる人がまったく見つからないとする。その代わりに、一生懸命働いて100万円を貯めたとする。100万円を5%の利回りで運用できるとする。

一年後、100万円が105万円になる。つまり産み出した価値は5万円。5万円÷100万円=5%のリターン。

いままでのシナリオを整理すると

  1. 自分の資本は0万円。100万円を借り入れる。一年後自分の資本は2万円となる。自分の資本に対するリターンは無限大。2万円÷0万円=無限大。
  2. 自分の資本は50万円。50万円を借り入れる。一年後自分の資本は53.5万円となる。自分の資本に対するリターンは3.5万円÷50万円=7%。
  3. 自分の資本は100万円。借り入れは0万円。一年後自分の資本は105万円となる。自分の資本に対するリターンは5万円÷100万円=5%。

自己資本率という言葉がある。総資本を100%とした場合の、自分の資本(自己資本)の割合である。

  1. 自己資本率は当初0%。
  2. 当初50%。
  3. 当初100%である。

自己資本率が高いということは、もり仮に事業が計画通りに進まず、仮に損失がでても、自己資本で賄えるので、財務が安全であると言われる。

一方、財務レバレッジという言葉がある。レバレッジとは、梃、てこ、のこと。イメージは下記の通り。

By CR, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1532333

小さな力で、大きな重さのものを持ち上げるイメージ。つまり、小さい自己資本で、大きな事業に投資して運用する、ことの例えである。

  1. 当初財務レバレッジは無限大、総資本100万円÷自己資本0万円=無限大。
  2. 当初レバレッジは2、 総資本100万円÷自己資本50万円=2。
  3. 当初レバレッジは1、 総資本100万円÷自己資本100万円=1。

レバレッジが大きいほど、小さな自己資本で大きな事業に投資できるので、起業家にとっては魅力的だ。一方、資金を貸し付ける債権者の観点からはレバレッジが大きいと、事業がうまくいかない場合、利子を払ってもらえない、もしくは元本自体が返済できなくなるリスクがあるなど、好ましくない。

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企業価値(4)

前回、100万円を年利3%で借りて、その100万円を5%の利回りで運用して、無一文から2万円の価値を産み出した話をした。

この場合、得たものが2万円で、投資したものが0万円だったので、2÷0=無限大のリターンを得たことになる。

さて、もし100万円を貸してくれる人がいないとする。その代わりに、一生懸命働いて50万円を貯めたとする。そこで50万円であれば貸してくれる人が見つかった。やはり年3%で貸してくれるとのこと。また、100万円を5%の利回りで運用できるとする。

すると、一年後、借りた50万円にたいして、3%の利子をつけると1.5万円なので、総額51.5万円を返すことになる。すると、105万円から51.5万円を差し引くので、手元に残るのが53.5万円となる。すると、当初50万円を資本として投資したので、得たものは3.5万円になる。

前回の例では得たものは2万円であったのが、今回は3.5万円。絶対額で言えば、今回の方が1.5万円多い。しかし、効率性を考えると、資本0で2万円産み出した時にはリターンは無限大だったのが、今回は資本50万円で3.5万円を得たので、3.5÷50=7%。効率性で言えば、7%は無限大よりは小さい。

リターン率の観点からは前回の方がよいが、ビジネスを始めるのに、自分のお金を投資せずに、他人からお金を借りるだけで、ビジネスをスタートするのはほぼ不可能である。借りるための信用がないということと、貸す人から見ても、自分の資本をいれない起業家はやる気がないのでは思われることも考えられる。

起業家からすれば、なるべく投資する資本は少ない方がよいし、リターン率も高いほうがよい。しかし、実際には、自分の資本がいくらで、他人から借りるのがいくらで、という配分を考える必要がある。それが資本政策というものである。

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企業価値(3)

企業価値の考え方は、会計や経理の考え方より、ファイナンスの考え方に由来する。

会計や経理は、基本的に、過去の出来事(イベント)の実績を記録する。現在の複式簿記の考え方では、ストックとフローの変化という形で二面的に記録する。典型的なのは、売上というフローがあると、それに対して現金というストックが増える、または売掛金というストックが増えるという具合である。

ファイナンスの考え方は、時間を大切にする。あと、非常に大切なのはスプレッドという考え方である。

時間に関していうと、例として、今日の100万円と一年後の100万円は価値が違うということがある。一年後の100万円は、今日の98万円と同じ価値かもしれない。また、今日の100万円は一年後の103万円と同じ価値かもしれない。会計にはそんな考え方を全面的には取り入れていないが、ファイナンスではそれが考え方の全てである。

また、スプレッドとは何かというと、ファイナンスにおいては生きるか死ぬかを意味する言葉だと思う。スプレッドがプラスであることが非常に大事だ。ファイナンスをすると、何も無い所から価値を産み出せる。スプレッドがプラスである限りは。

あなたが何か事業を始めたいとする。しかし、あなたは無一文だとする。誰かが100万円貸してくれると言う。ただし年利3%で。一年しか事業をしないとする。あなたはその借りた100万円事業に使って年利5%増やしたとする。すると一年後、あなたは105万円を手持ちとして、103万円を返すので、2万円が手元に残る。良い結果だ。理由は事業リターンの5%が資本コストの3%を2%上回っていたからだ。この2%がスプレッドと言うことである。

この極端な企業の単純化された例では、一年後の企業価値は、103万円を返済する前の時点では、105万円、負債価値は103万円、株主価値は2万円となる。

103万円の負債を返済したあとは、企業価値は2万円、負債価値は0万円、株主価値は2万円となる。

いずれにしても、あなたは無一文から一年後に2万円の株主価値を産み出したことになる。

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企業価値(2)

最近の日本経済新聞の記事(2019年9月13日付)に、東南アジアのスタートアップ企業への資金流入額が拡大しているとの報道があった。2019年の上半期、東南アジアにおける上位50社の資金調達額は約6900億円超で、日本の4倍の規模とのこと。

少し過熱ぎみということだが、まだまだ東南アジアのスタートアップによる資金調達は続くだろう。

私は、4月にこの経営・投資アドバイザリーを創業して以来、現在複数のスタートアップ企業の資金調達活動に関与している。たまたま私はグローバルなビジネスを顧客とすることを会社の目的として標榜している。そのためか、それらのスタートアップ企業にとって、所在地が日本であるか他国であるかに関わりなく、当初対象としているマーケットは実は日本ではない。

さまざまな理由があるとは思う。

まず1。さまざまな既成の産業が成熟しており、しかも日本独自の進化をとげていることが多い。そのような産業で提供されているプロダクトやサービスが世界的に見て、すでに時代遅れのものになっていても、既存の寡占企業が強すぎたり、ユーザーがその時代遅れのプロダクトに慣れていたりして、技術的に革新的なプロダクトは簡単には受け入れてもらえない。

その2。たとえ、そのような日本市場で多少成功しても、あまりにもガラパゴス的なニーズをもつ日本市場に合わせて開発したプロダクトは、海外市場に簡単にはもっていっても、同様に受け入れてもらえるか分からない。

そのようなことから、日本市場を最初のターゲットにするスタートアップ企業が、世界的に成功するスタートアップ企業になる可能性は低いと言わざるを得ない。だからと言って、あきらめるべきではないが。

東南アジアの市場は、日本市場のような状況ではなく、むしろ既成の産業もなかったり、既存の寡占企業もまだなかったりする。また、それぞれの国の事情ももちろん異なる訳だが、日本のように高度なガラパゴス化をとげるような進化の仕方をする国が少ないように思う。

東南アジアにおける携帯電話やスマートフォーンの普及をみれば、そのような状況は理解できるように思う。

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企業価値(1)

企業や産業などの状況を理解する手段として、数値を集計するのが一般的だ。会計は数値を記録する手段としては有効ではある。

しかし、有形資産や無形資産などに分ける考え方、それを貸借対照表に載せるか載せないか、目的なしに決めても無意味だ。そもそも過去に払った金額で資産の価値を決める考え方そのものが無意味だ。

より少ない投資で、より多くのリターンを得る方が良いので、資産はより少ない方が良い。

現状は、IT産業はそういうことができる余地が大きく、伝統的産業では厳しくなっていると言う事だ。ITでは、投資はすぐにするが投資を打ち切るのを決断するのも早い。

あと、企業価値は、基本的に有形資産でも無形資産でもなく、将来のリターンを生み出す力が源泉になっていることを理解すべきだ。無形資産では企業価値は表わせない。

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ファイナンスとは(4)

会計、簿記について、もう一度おさらいしたい。

財務諸表は基本3つある。

  1. 貸借対照表 (Balance Sheet 略してB/S)
  2. 損益計算書 (Profit and Loss. 略してP&L。米国企業はIncome Statementと財務諸表では表示する。)
  3. キャッシュフロー計算書 (Statement of Cash Flows. 略してC/F)

簿記は、文字通り、帳簿に記帳することで経済的取引の記録を取ることである。現代の簿記は複式簿記と呼ばれる。なぜなら、一つの取引を2つの側面から説明するからだ。だいたい、取引というのは、何かを得るとそれ以外の何かを失う、もしくは何かを失うことで新たなものを得ることを指す。一方的に何かを得る、または何かを失うというのは、基本的には取引とは言わない。もちろん、そのようなことも人生起きるが、経済的取引ではそのようなことを想定していない。

簿記は経済的取引をデータとして記録する技術を主な対象とする。一方で、会計はそのようにデータを記録を取る目的・原則、そしてデータの見方・意味合い、そしてデータが経済的取引を行っている組織の状況を、過去・現在・予測できる将来を説明することまでも対象とする。

複式簿記を使う時、まず経済的取引を金額で表現する。日本円、米ドル、ユーロ。今やビットコインのような暗号資産で表現されることもあるかもしれない。そして、2つの側面から説明する。それが難しい。左側に借方(英語でDebit)、右側に貸方(英語でCredit)に2つ側面を記す。もともと簿記は銀行で使われたそうで、銀行の取引相手の観点から記録したそうだ。相手が借りたら、借方(左側)。相手が銀行に貸したら貸方(右側)。

あなたが銀行だとして、友人である顧客に1000円を貸す。すると、友人は1000円を借りることになる。したがって、これは借方である左側に、貸付金1000円と記帳する。では、貸方である右側には何を記帳する。取引とは、何かを得ると何かを失うことだ。1000円を友人に貸すことで、将来1000円を返してもらえる権利を得る、それが借方(左側)。その一方、あなたは今までもっていた1000円を失う、それが貸方(右側)。

借方(左側) 貸付金1000円 / 貸方(右側) 現金1000円

逆に別の友人が、銀行であるあなたに、1000円預ける。すると、この友人が銀行に1000円貸すことになる。したがって、貸方である右側に、預り金1000円と記帳する。借方である右側には何を記帳する。あなたは1000円という現金を得る。それが借方である左側に記帳される。一方、あなたは友人に将来1000円を返す義務を負う。それが貸方(右側)へ。

借方(左側) 現金1000円 / 貸方(右側) 預り金1000円

まずは、B/Sを理解するのが大切。企業では、現場のマネージャーは、まさにP&L脳になってしまっているわけだが、企業経営者になるためにはB/Sを理解することが必須である。

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ファイナンスとは(3)

さて、前回まで、会計とファイナンスの違いについて説明してきた。

別にどちらが良くて悪いかということを言っているわけではない。実際のところ、会計とファイナンスは、お互い補完するものだ。会計という取引の記録をするツールがなければ、ファイナンスで中長期のビジネスのための分析や計画策定ができない。逆に、ファイナンスという中長期的な視点でビジネスのことを考えないということになると、会計で表されている財務諸表を解釈して理解することができない。結論として、会計とファイナンス、両方必要だ。

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ファイナンスとは(2)

前回、ファイナンスとは、リスクをとることだ、そのために何かすることだ、と説明した。また、いわゆる短期的な損得勘定だけ考えるPL脳とは違いがあるということを説明した。

さて、私はアメリカで会計士になり、財務諸表の監査にかかわってきた。

財務諸表とは、損益計算書(さきほどから言っているPL、私はP&Lと書くことにしている)、貸借対照表(これは英語ではBalance Sheetと呼ばれ、私はB/Sと書いて表すことにしている)、さらにキャッシュフロー計算書、の3つからなる。國貞克則さんは、朝日新書から「財務3表一体理解法」という、とても分かりやすい本を著しておられる。

厳密にいうと、P&LとB/Sは、複式簿記という取引という事象を借方と貸方という天秤の左と右のように、右と左の両方が等しくなるように、一つの取引事象を二つの側面から表す。

しかし、キャッシュフローは、そのような複数の取引から、現金の出し入れに関係している取引のみを取り出して、現金の増減、動きを表す。簡単に言えば、銀行の通帳、もしくはステートメントのようなものだ。

会計の面白いところは、実は、複式簿記、つまりP&LとB/Sの世界では、現金に関わらない取引が記録されていることだ。つまり、現金が動かなくても、帳簿には取引が記録される。例として、通常、売上とはそのようなことが多い。小売業では、商品を売ると同時に現金を受け取ることが多いが、それ以外では、商品かサービスを売ると、請求書を出すだけで、現金はすぐにはもらえない。このような場合でもP&L上は売上であり、B/S上は売掛金という権利を記録する。簿記や会計を学んだことのない人には、こういうことは理解しにくい。経営大学院で、いわゆるMBAという、ありがたい学位をもっている人たちでさえ、それも世界で超一流といわれる学校を卒業した人たちでも、理解していないことがある。

ファイナンスは、会計で記録された情報を利用するが、会計そのものではない。会計は、ビジネスにおける言語(共通言語)と言われることがあるが、会計にはビジネスを中長期的に考える上で、重大な欠陥がある。

その欠陥とは何か。

まず、第一に、会計の情報は、基本的に、過去の情報の蓄積である。たとえば、ある会社が資本金1億円で10年前に設立されたとする。10年間の間、資本金に影響を与える取引は起きていないとする。すると、10年後、B/Sを見ると資本金は10億円のまま。それを見て、この会社は資本金10億円の価値をもつ会社である、と言えるか。自明だが、そのようなことは言えない。それだけの資本金の価値が今あるかどうかはまったく分からない。現在投資されている価値の情報が更新されていない。

第二に、会計はリスクを明示的に表すことができない。さきほどの資本金1億円を、すぐに転売できる商品の在庫の購入に使うか、それともすぐには商品を製造することに使えない工場の設備の購入に使うか。どちらの場合も、B/S上は、1億円の資産として計上され表わされる。どちらが、もっとリスクがあるか。直感的には工場の設備の購入の方が、より多くのリスクがありそうだ。だからといって、すぐに転売できる商品の在庫の購入をすればよいというわけではない。

第三に、会計はリスクに応じた必要なリターンを明示的に表すことができない。さきほどの例で、すぐに転売できる商品は、通常大きな利益を生み出すことができない。なぜなら、他の誰でもできることだからだ。対比して、工場の設備の購入をして、商品の製造にのりだすことは、リスクはよりあるが、もし、まだ誰も製造したことのない商品を製造できるならば、より多くの利益を生み出すかもしれない。ここで、利益と言うのは短期的な収益(つまり売上)と費用(ここでは短期的な原材料費や労働コスト)との差である。リターンというのは、当初工場の設備の購入にかかけた1億円と、毎年の利益の比率である。もし利益が毎年1千万円でるとすれば、単純に言えば、リターンは10%、つまり1千万円÷1億円、ということになる。もし、商品をただ転売するだけで、100万円の利益がすぐでるならば、リターンは実に1%、つまり100万円÷1億円、となる。

この例で、リスクは大きくなるが、リターンが10倍になる、つまり1%が10%になる、ことは本当に良いことなのかどうかは別途考える必要があるが、私が言いたいのは、会計は、そのようなことを判断する考え方を提供しないということだ。