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企業価値(6)

さて、前回では、100万円の資本を投下したら、一年後には5%のリターンがあって、105万円になってよかった訳であるが、もし、100万円の投資が、一年後に、マイナス20%のリターンで80万円で戻ってきたらどうなるか。

今回のシナリオを整理すると

  1. 自分の資本は0万円。100万円を借り入れる。一年後戻ってきた金額は80万円。100万円に3万円の利子を加えてかえさなければならないが返しきれない。
  2. 自分の資本は50万円。50万円を借り入れる。 一年後戻ってきた金額は80万円。50万円に1.5万円の利子を加えて返す。すると、手元に残ったのが、80万円-51.5万円=28.5万円。自分の当初投資した資本は50万円だったので、50万円-28.5万円=21.5万円を失ったことになる。-21.5万円÷50万円=-43%。リターンは、マイナス43%。
  3. 自分の資本は100万円。借り入れは0万円。 一年後戻ってきた金額は80万円。 手元に残ったのが 80万円。 自分の当初投資した資本は100万円だったので、100万円-80万円=20万円を失ったことになる。-20万円÷100万円=-20%。リターンは、マイナス20%。

1.の場合は、借入が返せないので、債務超過で事業は破綻。

2.の場合は借入は返せるので、事業は継続できるが、自己資本に対するリターンはマイナス43%

3.の場合は、そもそも借入はなかった。 事業は継続できて、自己資本に対するリターンはマイナス20%

リターンという率で考えると、事業が順調であれば、借入を多くして、レバレッジが大きいほどよいが、事業の業績が下振れすると、借入が多い場合は、借入を返済できなくて債務超過になる可能性もあるし、さらにレバレッジが大きいほど、自己資本のリターンがさらに悪くなる。

つまり、レバレッジが大きいと成長を助けることもあるが、場合によっては、事業が破綻する可能性がより大きくなることもある。

肌感覚では、借入、借金が多いとリスクが大きいというのは当たり前のことのように思えるが、このように数字の例で考えると、事業が良いときはレバレッジが大きいほどリターン率が高いが、事業が悪いときはレバレッジが大きいほどリターン率がさらに悪くなる。

つまり、事業の業績の振れ幅が大きいときは借入は避けるべきである。スタートアップ企業が当初借入はできないのは、既に継続している事業事業と比べて業績が下振れする可能性が高いからである。

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