さて、前回の例の続き。今度は100万円を貸してくれる人がまったく見つからないとする。その代わりに、一生懸命働いて100万円を貯めたとする。100万円を5%の利回りで運用できるとする。
一年後、100万円が105万円になる。つまり産み出した価値は5万円。5万円÷100万円=5%のリターン。
いままでのシナリオを整理すると
- 自分の資本は0万円。100万円を借り入れる。一年後自分の資本は2万円となる。自分の資本に対するリターンは無限大。2万円÷0万円=無限大。
- 自分の資本は50万円。50万円を借り入れる。一年後自分の資本は53.5万円となる。自分の資本に対するリターンは3.5万円÷50万円=7%。
- 自分の資本は100万円。借り入れは0万円。一年後自分の資本は105万円となる。自分の資本に対するリターンは5万円÷100万円=5%。
自己資本率という言葉がある。総資本を100%とした場合の、自分の資本(自己資本)の割合である。
- 自己資本率は当初0%。
- 当初50%。
- 当初100%である。
自己資本率が高いということは、もり仮に事業が計画通りに進まず、仮に損失がでても、自己資本で賄えるので、財務が安全であると言われる。
一方、財務レバレッジという言葉がある。レバレッジとは、梃、てこ、のこと。イメージは下記の通り。

小さな力で、大きな重さのものを持ち上げるイメージ。つまり、小さい自己資本で、大きな事業に投資して運用する、ことの例えである。
- 当初財務レバレッジは無限大、総資本100万円÷自己資本0万円=無限大。
- 当初レバレッジは2、 総資本100万円÷自己資本50万円=2。
- 当初レバレッジは1、 総資本100万円÷自己資本100万円=1。
レバレッジが大きいほど、小さな自己資本で大きな事業に投資できるので、起業家にとっては魅力的だ。一方、資金を貸し付ける債権者の観点からはレバレッジが大きいと、事業がうまくいかない場合、利子を払ってもらえない、もしくは元本自体が返済できなくなるリスクがあるなど、好ましくない。