最近の日本経済新聞の記事(2019年9月13日付)に、東南アジアのスタートアップ企業への資金流入額が拡大しているとの報道があった。2019年の上半期、東南アジアにおける上位50社の資金調達額は約6900億円超で、日本の4倍の規模とのこと。
少し過熱ぎみということだが、まだまだ東南アジアのスタートアップによる資金調達は続くだろう。
私は、4月にこの経営・投資アドバイザリーを創業して以来、現在複数のスタートアップ企業の資金調達活動に関与している。たまたま私はグローバルなビジネスを顧客とすることを会社の目的として標榜している。そのためか、それらのスタートアップ企業にとって、所在地が日本であるか他国であるかに関わりなく、当初対象としているマーケットは実は日本ではない。
さまざまな理由があるとは思う。
まず1。さまざまな既成の産業が成熟しており、しかも日本独自の進化をとげていることが多い。そのような産業で提供されているプロダクトやサービスが世界的に見て、すでに時代遅れのものになっていても、既存の寡占企業が強すぎたり、ユーザーがその時代遅れのプロダクトに慣れていたりして、技術的に革新的なプロダクトは簡単には受け入れてもらえない。
その2。たとえ、そのような日本市場で多少成功しても、あまりにもガラパゴス的なニーズをもつ日本市場に合わせて開発したプロダクトは、海外市場に簡単にはもっていっても、同様に受け入れてもらえるか分からない。
そのようなことから、日本市場を最初のターゲットにするスタートアップ企業が、世界的に成功するスタートアップ企業になる可能性は低いと言わざるを得ない。だからと言って、あきらめるべきではないが。
東南アジアの市場は、日本市場のような状況ではなく、むしろ既成の産業もなかったり、既存の寡占企業もまだなかったりする。また、それぞれの国の事情ももちろん異なる訳だが、日本のように高度なガラパゴス化をとげるような進化の仕方をする国が少ないように思う。
東南アジアにおける携帯電話やスマートフォーンの普及をみれば、そのような状況は理解できるように思う。