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エッジコンピューティング (5)

エッジコンピューティングとは、身の回りにある、一見コンピューターのネットワークとは縁がなさそうに見えるモノが、さまざまな通信手段で、コンピューターネットワークにつながりつつも、そのネットワークのエッジ(つまり、端)にあるモノ自体がコンピューティングするということだ。

よくSF映画をみると、部屋中にあるガラクタのようなロボットが、急に動き出したり、話し始めたりする。そういう人を脅かすようなお行儀の悪いロボットではなく、人間のことを考えてくれるロボットは、エッジデバイスの延長なのだろう。

ある予想によれば、そのようなエッジデバイス、IoTデバイスは、2020年には200億台を超えるらしい。地球の総人口は超えているので、地球上で一人一台は達成してしまったことになる。

エッジデバイスは単に温度や湿度の変化を観測するという応用を超えて、人間を仮想現実の中に惹き込む。これも、だんだんとSF映画さながらに、仮想現実があたかも現実になってしまうなんてことが起きてくるのだろう。

もともと、インターネットの世界では、大量のサーバーが通信でつながって、あたかも、雲のようなクラウドになって、情報処理、コンピューティングを行うイメージあったと思う。IoT(Internet of Things モノのインタネット化)では、当初、デバイスは、そのようなサーバーによって制御されるというイメージであったと思う。

それが、エッジコンピューティングでは、そのモノがエッジデバイスとなって、自らデータを取得し、その情報処理、コンピューティングを行うことができる。サーバーとの通信を行わないので、その通信にかかる時間もないような状況、たとえば、ほんの1秒よりはるかに短い時間で自動車事故になるような状況、でもエッジデバイスはなんらかの情報処理、コンピューティングをして、事故を回避するか軽減するためのアクションをとる。

ガートナーという、ITに関するリサーチの世界的な権威である機関は、2022年までに、企業により生成されるデータの50%以上は、データセンターの外部、またはクラウドで作成・処理されるようになると予測している。

たとえば、監視カメラでも、温度センサーでも、数時間以上、何ら異常がないという状態のデータを、通信を使ってまで、サーバーやクラウドにデータを逐一送る必要はまったくない。むしろ、そのように何の異常もないという事実を簡潔にまとめたデータ、つまりメタデータ、をサーバーやクラウドに送るだけで済む。その一方、エッジデバイスが何らかの異常を感知した場合は、エッジデバイス自体が何らかのアクションをとる一方、その異常な事態について、サーバーやクラウドに即座に通信をつかって送ることで、その場以外で同様のことが起きる前にサーバーやクラウドが派生効果を分析するということもできるかもしれない。

たとえば、地震のような災害で、震源地に近いエッジデバイスが揺れを感じたら、その場でエッジデバイスが警告を発する一方で、サーバーやクラウドにデータを送り、その直後にその地震がどのような影響を及ぼすのかを高度な分析能力をもったサーバーやクラウドが情報処理・分析する。このようなケースではエッジコンピューティングとクラウドコンピューティングとの連携で、災害に即座に対処しつつ、その後の被害を最小限にするためのアクションが可能になる。応用範囲は広いのではないだろうか。

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